受験生が合格するために実際に行ってきた具体的な施策をご紹介します。
Tさん
東京大学 文学部(定員10名程度)
学校推薦型選抜(公募)合格 2022年4月入学
【受験について】
・1次選考:書類審査(論文6000~8000字)
・2次選考:小論文、面接(プレゼンあり)
他の合格校:慶應義塾大学 環境情報学部
合格した大学を教えてください。
AO入試で慶應義塾大学環境情報学部、学校推薦型選抜で東京大学文学部を合格しました。
どんな高校生活を送っていましたか?
在籍していた学校に社会部があり、社会部に入って様々な活動をしていました。
具体的には?
私は特にジェンダー問題について関心があったので、LGBTQの活動に参加したり、学生団体を立ち上げたて、LGBTQの議員さんにお話を伺ったりしながら活動をしていました。
どうしてジェンダー問題に関心を持つようになったのですか?
同じ社会部にノンバイナリージェンダー(自分で認識している性が、男性でも女性でもない)の友達がいて、その子と話をしているうちに、何事も2分化して考えることに問題があるのではという考えに至りました。
探究活動での情報収集は、Twitter(現X)を使っていました。LGBTQの活動を行う最前線の人や、ジェンダー問題を研究している教授などをフォローして様々な意見や考えを学びました。
アウトプットの場は?
社会部で研究発表のような機会があるので、そこで自分が探究してきたことの発表をしていました。
何か資格や実績はありますか?
英検準1級は取得していました。留学経験等はありません。
受験を意識し始めたのはいつですか?
高校1年生ですかね。社会部の顧問の先生と話したり、社会部での活動を通じて、慶応義塾大学のSFCで学びたいと思うようになり、高1の途中からAO対策の塾に通うようになりました。塾では毎回小論文を書いていましたね。
慶応義塾大学情報環境学部のAO入試の方が東大の入試よりも先にあったと思うのですが、どんな準備をしましたか?
情報環境学部には、デザインを用いて社会課題の解決を実践している教授陣がいるので、2000字の志望理由書や任意提出資料では、アートを用いてLGBTQの問題を国民に考えさせたいということを書きました。具体的には、トイレの「男性/女性」という表記を「犬好き/猫好き」に変えてみることで、日常的に刷り込まれた「男性/女性」という価値観に疑いの目を向けさせることができのではないかという提案などをしました。実際に学校でや所属していた学生団体でワークショップを開き、このようなトイレがあったらどうなるかという話合い等もしたので、参加した人の意見も志望理由書に載せました。また、すでに日本社会にあるオールジェンダートイレを数か所訪れ、本当にトランスジェンダーが使用しやすい構造になっているのかを確認しに行きました。証拠の写真もとって、任意提出書類に入れました。
慶應の面接はどうでしたか?
聞かれたこととしては、「君が大学に入ってやりたいことをもっと具体的に教えて」や「宗教的な問題でトランスジェンダーを受け入れない場合はどうするのか」などがありました。正直、宗教的な知識はその当時持ち合わせていなかったので、面接官に対してそのことを正直に伝えた上で、「寛容と不寛容」という視点でトランスジェンダーを受け入れられない人達へのアプローチ方法を答えました。
東京大学文学部はどのような準備をしましたか?
東大文学部は8000字の論文を提出することが義務付けられていたので、論文作成に時間をかけました。慶應SFCはどちらかというと行動力のある学生を求めていますが、東大は研究者を目指す学生を求めているように感じていたので、かっちりとした学術論文を書くことを意識しました。日本のトイレにおける性の歴史について先行研究等を集めたり、東大にセクシャリティの歴史社会学を専門とする教授がいるのでその方の本や論文を読み、参考文献として書きました。
東大の面接はどうでしたか?
私の志望理由書に対して鋭いツッコミがありましたが、それに対して論理的に答えたら、それ以上のツッコミはありませんでした。面接官は、受験者が論理的に答えることができるのかを審査しているのだと思います。
総合型、学校推薦型選抜で合格するために必要なことは?
自分に正直になり、与えられた正解ではなく自分なりの正解を持とうとすることが大切だと思います。また、小論文の対策は絶対に必要ですね。論理的に書く訓練をしていれば、面接のときにツッコミを入れられても、上手く答えることができるようになるので。