起業を疑似体験する探究学習の誕生ストーリー
教科化されて課題感のあった「総合的な探究の時間」
2022年度より高校で教科化された「 総合的な探究の時間」 。どの学校もどのように進めていけばよいかを悩んでいる科目でした。当時、様々な企業が「総合的な探究の時間」 についての教材を出していましたが、以下の3点を意識して作られているものはありませんでした。
理想の探究教材
- 1 生徒1人1人が自分の興味関心からスタートする
- 2 実現可能性・持続可能性の観点で課題解決を考える
- 3 ビジネスを体系立てて学ぶ
チームで企業や地域が提示する案件をチームで考える探究教材では、課題解決の考え方やフレームワークを身につけることはできますが、生徒1人1人が興味関心を基に探究をしていくことはできません。
また、SDGsの目標を基に課題解決を考えていく探究活動も多くあります。しかしながら生徒が考え出す解決策はどれも実現可能性や持続可能性の観点が抜けていることがほとんどです。SDGsのS(sustainable:持続可能な)の観点が抜けていながらも、それでよしとしてしまうのは皮肉なものです。
キャリア教育に関して言うと、高校生だけでなく大学生もそうですが、ビジネスの世界を体系立てて知ることなく、自分の進路を選択していていることが大きな問題でした。「とりあえず有名大学であればどこでも」、「とりあえず先生に勧められた大学の学部に」、というような進路選択では大学に入った後に後悔します。学校の先にあるビジネスの世界を知らずに学び続けることは、非常に効率の悪い学びのように感じていました。
上記のような考えあり、ちょうどコロナ禍で時間ができたときに教材を考え始めました。 コツコツとワークシートを作り、 それがある程度の枚数になったときに、 学校としてお付き合いのあったNOLTYプランナーズさんに情熱をもって語ったところ、「 他の学校にも展開できるように商品化しましょう」と手を差し伸べてくださりました。
「実現可能性」と「持続可能性」の追求
こうして生まれた「NOLTYスコラ 探究プログラム MyBiz編」というワークブックは、 生徒1人1人が自分の興味関心を基に「起業」を疑似体験し、ビジネスを体系立てて学ぶことができます。
ゴールは、創業計画書を書き、自分のビジネスプランをプレゼンすることです。ビジネスモデルやマーケティング、資金調達方法、事業の見通しなどを動画で学習しながら、実際に自らのビジネスアイデアをワークシートに記入をしていくことで、起業のプロセスを学んでいきます。
今や初期費用や運転資金などの相場はインターネット上で調べることができます。ワークシート上で、期待する収入から必要経費等を引き、1か月あたりの利益を計算していくことで、自分のビジネスプランの実現可能性や持続可能性を確かめることができます。
生徒が自分の行きたい未来へ向かうために
大学生になった卒業生が学校に遊びにくると、半分近くの生徒が「今の学部があっていない。転部したい。」と愚痴をこぼしていました。彼らは高校生の時に大学の見学や学部説明会などに参加しているにも関わらず、そのような考えになっています。
なぜ学部選び、自分の進路選択を間違ってしまうのか。
それは、大学の先にある「ビジネスの世界」をほとんど知らないからです。
移りゆくビジネスの世界をキャッチアップして、自分の将来の働き方をイメージできなければ、逆算して進路選択をすることはできません。進路選択を誤らないためにも、高校生はビジネスの世界を知るべきなのです。
このような思いから、「NOLTYスコラ 探究プログラム MyBiz編」が完成しました。教員を辞めて教育コンサルタントとして独立してからは、NOLTYプランナーズさんの探究教材を監修しています。「基本編」「地域・旅行探究編」「進路編」も、より多様な視点から自分自身への理解を深める設計になっています。
そこから「地域」を知り、
「ビジネス」を知る。
そして将来につなげる。